冬なのにどうして布団を蹴るのか?特に男性や子どもはよく蹴る
明け方、なぜか足元に毛布が移動していたり、掛け布団がベッドから落ちたりしていませんか?夜中に布団を蹴ってしまい、寒くて目が覚めることはありませんか?
「布団や毛布を蹴るのは寝相が悪いから」と、寝相が原因だとお考えの方も多いのではないでしょうか。
真冬に布団や毛布を蹴る状態が頻繁に起こっている方は、夜中に目が覚める回数・トイレの回数が増え、寒さで目が覚め、眠りの質が悪くなっている可能性があります。
この様な状態だったら、睡眠不足かも
- 掛け布団がズレてベッドから落ちることがある
- 朝、毛布が移動して身体に掛けていない
- 朝、敷布団の上で寝ていない
- 掛け布団と掛けカバーをヒモで固定してもズレてしまうことが多い
- 真冬なのに手や足が布団から出ている
布団や毛布を蹴ることなく、暖かくぐっすりと眠れるようにするためには、どのような対策が有効か、布団屋の目線からご説明します。
寒いのに布団や毛布を蹴る原因は布団の素材が原因かも
寒いのに布団や毛布を蹴る原因は、布団・毛布やパジャマ・インナーなどの素材が化学繊維だからだと当店では分析しています。
寝ている時には冬でも汗をかいています。
化学繊維は湿気の吸水性と発散性に乏しい素材です。湿気がこもりやすいため、布団の中が蒸し風呂のようになるため、不快になり、寒いのに布団や毛布を蹴ってしまうのです。
現在、化学繊維は湿度によって発熱する綿や生地もあり、寝具やパジャマにも取り入れられていますが、身体がより汗をかいて冷えるという悪循環になります。
発熱素材のインナーや靴下を睡眠時に使用すると、自分の汗で余計に体を冷やしてしまいますので、布団を蹴ってしまう人には使用しないことをおすすめいたします。
一部の化学繊維には、通気性を良くするために繊維の中が空洞になっているものや、加工の方法により通気性をよくしている布団や毛布などがあります。
通気性が良すぎる事で、暖かい空気まで逃してしまうので保温力が弱く、寒さを感じています。
主に、蒸れにくい機能性繊維の掛け布団、網状の高反発敷布団・コイル状マットレスなどは保温力が弱く感じます。
しかしそのような通気性の良い化学繊維でも、覆われている生地自体が化学繊維であれば、蒸れを起こしています。
ポリエステル素材の寝具、アクリル毛布、電気毛布、フリースなど化学繊維のパジャマ、発熱素材のインナーなどの商品は、布団や毛布を蹴る原因になりやすいため避けましょう。
布団や毛布を蹴る悩みが増えたのは昭和後期から
「布団や毛布がズレたり、寒くて眠れないと言うご相談が増えたのは、昭和50年代以降、合成綿とアクリル毛布の普及に伴い増えてきた」と当店創業者の平野照久はよく述べていました。
合成綿が日本で販売されたのは、昭和30年頃(文献によって年代が異なる)ですが、出始めは高級品だったため、一般に普及したのは昭和46年の紫布団ブームから昭和57年の固わたふとんブームの頃になります。(日本ふとん製造協同組合「JFMA 沿革・歴史」、西川株式会社「西川の歴史 寝具革命」をご参照ください。)
アクリル毛布が日本で普及し始めたのも、合成綿と同じ昭和40年から50年にかけてです。(J-STAGE美作女子大学(元日本エクスランエ桑株式会社)児山一郎「アクリル毛布の商品開発動向について」をご参照ください。)
時代が昭和から平成へと移り変わり、化学繊維も開発により機能性繊維の商品が出るようになりました。
機能性繊維とは、繊維に特殊な機能が付与された繊維のことです。寝具や衣料品など幅広い商品で使われており、発熱素材・接触冷感素材、洗える布団などが機能性繊維になります。
現在も「寒いのに子供が布団から出て寝ている」「夜中に寒さで目が覚める」など、化学繊維や機能性繊維の布団やパジャマが原因と考えられる相談を多数お聞きしております。
厚生労働省の「健康実態調査結果の報告」では、平成30年度以降から「睡眠時間の取れている度合い」の調査項目が変更となり、令和4年までの調査によると、80%以上の方が睡眠に悩んでいる事が発表されています。(厚生労働省「令和3年度 健康実態調査結果の報告」をご参照ください。)
現代は暖かく、便利で、快適な暮らしに見えていても、化学繊維の普及に伴い眠りの質は落ちているのではないでしょうか。
布団を蹴とばす対策として、布団を固定したり、大きなサイズの布団を使ったりする方法もありますが、布団が化繊でできているものを使用していたら、根本的な解決になっていないと思います。
布団や毛布を睡眠中に蹴る事なく暖かく眠られる布団とパジャマとは?
睡眠中に布団を蹴ってしまう人は、当店では「天然素材100%の布団とパジャマを使ってください。」とアドバイスしています。寒くて眠れない、寝ている間の冷えで困っていると悩んでいる方にも天然素材100%の寝具とパジャマはおすすめです。
冬に蹴りにくい天然素材100%の布団
天然素材100%の布団とは、中綿も生地も天然素材100%の布団のことです。
布団に用いられる主な天然素材は、次の通りです。
- 綿
- ウール(羊毛)
- 羽毛
天然素材100%の布団は、これらの素材が組み合わさってできています。例えば、羽毛布団であれば、「中綿が羽毛で、生地が綿」という具合です。
これらの天然素材には吸湿性があり、布団を蹴る原因となる湿度を吸い取ってくれますので、寝ているときに自分の汗で身体を冷やすことが少ないです。また、保温力に優れているのでとても暖かです。中でもウールは湿気の放出性にも優れており、蒸れにくく、夏は涼しく冬は暖かい、季節を問わず使えます。天然のエアコンとも呼ばれているくらい、優秀な素材です。
天然素材の種類によって、それぞれメリットとデメリットがあるので、このページの最後にまとめています。それらを考慮しつつ、生活スタイルなどに合わせて、組み合わせてお使いいただくとよいでしょう。
当店では、これらの素材を用いた、天然素材100%の布団のみを取り扱っています。おすすめの組み合わせとしては、一般的な住宅であれば、敷布団にウール布団、掛布団が羽毛布団です。冬は毛布代わりとしてウールケットをおすすめしています。もし、天然素材の組み合わせが分からない場合は、当店までご相談ください。
布団を蹴りにくくなるパジャマや下着
パジャマやインナーは綿100%の薄手の生地を選ぶようにしてください。
パジャマの生地が厚すぎたり、重ね着しすぎたりすると、寝返りがうちにくくなり、寝ているときに体温が上がりにくくなるそうです。
冷え性で靴下を履いて寝る方は、靴下は履かないことをおすすめします。足の裏は湿気を放出するための大切な役割があるため、靴下で覆うのは逆効果となるためです。
湯たんぽや布団乾燥機などを利用し、手足を温めてお休みください。
どうしても靴下を履きたい方は、ウール100%、もしくはシルク100%のゆったりした締め付けない靴下がおすすめです。
天然素材100%の布団の特徴
一般的に市販されている天然素材100%の布団には、綿布団、羊毛(ウール)布団、羽毛布団の3種類があります。それぞれの特徴は、次の通りです。
綿100%布団の特徴
綿100%布団のメリット
- 保温力が高い
- 湿気を吸収してくれる
- 干すとフカフカに戻る
- サイズや重量のカスタマイズが可能
- 仕立て直しやリメイクが可能
- 値段がお手頃
綿100%布団のデメリット
- 重く感じる人もいる
- 湿気の放出性が乏しため、定期的に干す必要がある
- 自宅での洗濯ができない
- 販売している店が少ない
- 綿の質で寝心地も変わってくるので、中綿の確認が難しい
- 上質綿布団=綿100%では無いこともある
ウール100%布団の特徴
ウール100%布団のメリット
- 保温力が高い
- 湿気を吸収してくれる
- 湿気の放出に優れている
- こまめに干す必要がない
- 重量が軽い
- 布団によっては自宅での洗濯が可能
ウール100%布団のデメリット
- 仕立て直しができない(一部では打ち直しをしてくれるところもあるが少ない)
- へたりやすい(ペタンコになりやすい)
- サイズが少ない
- 値段が高価
- 販売している店が少ない
羽毛布団(掛け布団)の特徴
羽毛布団のメリット
- 保温力が高い
- 重量が軽い
- サイズや重量のカスタマイズが可能
- 仕立て直しが可能
- こまめに干す必要がない
- 販売店が多いため、買い求めやすい
- 一部の商品は自宅での洗濯が可能(当店では推奨しておりません)
羽毛布団のデメリット
- 生地の加工により蒸れやすい
- 軽すぎる
- 安価なものから高価までの値段の幅が大きい
- 粗悪品が多い
- 生地が破れると羽毛の処理が大変
- 空気を含むことで浮いた様になり、肩が寒くなりやすい
まとめ
真冬で寒いにもかかわらず布団や毛布を蹴る原因は、湿気がこもりやすい化学繊維で作られた布団やパジャマを利用していることを述べてきました。
寝ている間の布団のズレや寒さに困っていたら、湿気を取ってくれる天然素材100%の布団やパジャマなどのご利用をおすすめします。