40代女性冷え性の布団職人が実践
~冷え性でも真冬に暖かくぐっすり寝る方法~
冷え性の布団職人です
幼いころから冷え性の布団職人(40代女性)が、真冬どのように寝ているのかを知っていただき、冷え性の方に暖かく快適な眠りをお届けできればと思います。
私は小さなころから血の循環が悪く、しもやけになるほど冷え性です。 現在ではあったかグッズのおかげもあり、酷いしもやけはなくなりましたが、暖かな季節でも気温が下がると手足が冷たくなります。
周りから「なんでこんなに手が冷たいの」と言われても、自分では冷たいと感じていないことも多いです。
今このコラムを書いているときも、暖かな気温ですが手足の先は冷たいです。
真冬の睡眠時は毎日体が冷えており、布団だけで体を温めることが難しく、眠りにつくことが困難です。
「寝るときに体が冷えるなら、お風呂に入ってすぐに布団に入ればいいのでは?」と思う方もいますが、風呂から上がってすぐに手足が冷えていきますので、布団に入るまでにはすっかり体が冷え冷えになっているのです。
木造の一軒家に住んでいることも風呂上りすぐに手足が冷える原因の一つかもしれません。
私よりもひどい冷え性の方は多いと思います。また、近年は男性も冷え性の方が増え、男女問わない悩みになりました。
冷え性にもいろいろあり、私のように体が冷たくて眠りにつくことが困難な方もいれば、深夜や明け方に体の冷えで目が覚めトイレに行く方もいらっしゃいます。
病気などが原因の冷え性や、根本的な冷え性の改善は医学の分野となりますので医師に相談をしていただきたいのですが、私のように病院に行くほどでもないけど暖かくぐっすりと寝たい方に参考になれば幸いです。
冷え性の私(布団職人)が実践している、睡眠時に暖かく眠れる方法、身体の冷えで目が覚めない方法を解説していきます。
内容
① 使ってほしくない布団
真冬に暖かく寝るためにはまず、保温力が高く蒸れにくい素材の寝具を選ぶことが大切です。
保温力の高い布団はみなさん意識して購入されているかと思いますが、暖かく眠るためには蒸れにくいというのが重要になります。
- 保温力の高い布団・・・冷気を入れず、布団の中の空気を逃がさない布団
- 蒸れにくい布団・・・寝具が程よく湿気を吸い、放出してくれる素材の布団
適度な蒸れは暖かさを感じるためには大切なのですが、蒸れやすい布団は体から出る湿気や家の湿気が布団内部にこもりやすいため、湿気で体を冷やしていまい寒い布団となります。
多くの量販店で販売されている布団の素材のほとんどが、ポリエステル・アクリルなどの石油を原料とした化学繊維「合成繊維」です。
合成繊維は保温力がなく寒い布団であり、湿気の吸収が乏しいため蒸れやすい素材となりますので、使ってほしくない布団の素材です。
保温力を保つために敷布団にはスポンジなどが入っているものがありますが、スポンジは蒸れやすいので、保温力はあっても使うのはおすすめしません。
掛布団が羽毛布団なら保温力があるのでは?と思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、生地にポリエステルが混じっていると蒸れやすい布団となってしまいます。
冷え性の方が最もお使いの物が暖かそうなアクリル100%の毛布や毛布カバー、敷毛布です。
実際暖かく感じますが、時間が経つと湿気がこもるため蒸れてしまい、余計に身体を冷やしてしまう素材です。
近年では湿気で発熱するなどの機能性のある化学繊維が誕生し、暖かさを強調した寝具が
販売されていますが、そのような素材であっても、湿気がこもり蒸れ、身体を冷やすため、意味がありません。発熱すると言うことは、汗をかきやすくなり余計に身体を冷やしてしまうと考えますので、冷え性の方は特に使わないことをおすすめいたします。
② 使ってほしい布団
では、どの様な布団がいいのか?冷え性さんに使っていただきたい素材の寝具をご紹介いたします。
使っていただきたい布団の素材は、保温力が高く蒸れにくい素材となりますが、それは天然素材100%です。
自然由来の素材だけで仕立てた寝具は、暖かに眠れ、睡眠の質も良くなります。
寝具で使用されている天然素材とは、綿・羊毛・羽毛・麻・絹となります。
その他に、化学繊維でも天然の木材やパルプなどを原料とし、人工的に繊維に加工した「再生繊維」がございます。
こちらは化学繊維でも天然素材100%となり、「レーヨン」「モダール」「テンセル(リヨセル)」があります。おもに布団やカバーの生地となります。
天然素材100%の特徴
1.通気性が良くムレにくい 調質性にすぐれている
天然素材は、呼吸するように空気を通す性質があります。
調質性に優れているので、寝ている間の汗や湿気をしっかり吸収し(吸水性)、外に逃がしてくれる(放湿性)、ムレにくく一年中快適に使えます。※放湿性に乏しい場合もございます。
2.肌にやさしい
化学繊維と違って、天然素材は肌への刺激が少なく、敏感肌の方やお子さまにも安心してお使いいただけます。静電気も起こりにくいため、肌にやさしい素材です。
3.環境にやさしいサステナブル素材
天然素材は生分解性があり、使い終わった後も土に還ります。自然環境への負担が少なく、サステナブルな暮らしにもぴったりです。
素材それぞれの特徴
寝具で使用されている天然素材とは、綿・ウール・麻・絹・羽毛となります。
綿(コットン) | 吸湿性が高い。人間の肌に優しい素材 |
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羊毛(ウール) | 湿気を調整する力に優れているため、夏は涼しく冬は暖かく、天然のエアコンともいわれている |
羽毛(ダウン) | 保温力に優れている |
麻(リネン) | 通気性と速乾性に優れている |
絹(シルク) | 保湿性と吸水性に優れており、人間の肌に一番近い素材とされている |
レーヨン | 木材パルプ繊維で、吸湿性に優れている |
モダール | ブナなどの木材パルプ繊維で、吸湿性に優れている |
テンセル(リヨセル) | ユーカリなどの木材パルプ繊維で、吸湿性と速乾性に優れている |
冷え性の方におすすめの寝具
掛布団 | 綿・絹・羽毛 |
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敷布団 | 綿・羊毛 |
毛布 | 綿・羊毛・麻・絹 |
カバー | 綿・麻・絹・レーヨン・モダール・テンセル(リヨセル) |
※生地も中綿もすべて天然素材100%の物に限る
③ 冷え性の布団職人が使っている寝具
私が現在使っている寝具を参考にしていただき、ご自分の布団との違いを確認してみてください。
冬の寝具だけではなく、春夏秋の寝具も快適な眠りには必要不可欠ですので、参考になさってください。
~冬~
掛布団 | 羽毛(ダック93% 1.3kg入り ウンパワー350以上 ツインキルト 生地:綿100%60サテン) |
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敷布団 | 綿(中綿:綿100% 生地:綿100%) |
毛布 | ウールケット(中綿:ウール100% 生地:綿100%) |
敷パッド・敷毛布 | ウール(中綿:ウール100% 生地:綿100%) |
枕 | そば殻100% |
各種カバー | 綿100% |
~春・秋~
掛布団 | 綿合掛け(中綿:綿100% 約2kg入り 生地:綿100%) |
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敷布団 | 綿(中綿:綿100% 生地:綿100%) |
毛布 | ウールケット(中綿:ウール100% 生地:綿100%) ※ほぼオールシーズン使います。 |
敷パッド・敷毛布 | なし |
枕 | そば殻100% |
各種カバー | 綿100% |
~夏~
掛布団 | ウールケット(中綿:ウール100% 生地:綿100%) |
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敷布団 | 綿(中綿:綿100% 生地:綿100%) |
敷パッド | なし |
枕 | そば殻100% |
各種カバー | 綿100% |
補足
冬に使う布団+合掛け布団が私の持っている布団一式となります。
家がすごく寒いので、真冬にだけウールの敷パッドを使っています。
春や秋には気温に合わせて掛け布団を羽毛から綿の合い掛けに取り替えています。
敷布団は現在綿を使っていますが、羊毛の敷布団を使用する年もあります。
地域や住居によって必要な布団が変わりますが、どこか大きく違う点があれば、相談・改善をして頂ければと思います。
④ 寝るときの服装も大事
暖かく眠るためには、布団を変えることが大事ではありますが、パジャマ選びも大切となります。
冷え性さんはとにかく「暖かく寝たい!」「体を冷やしたくない!」と言う思いが強く、モコモコした見た目の部屋着や、生地が厚手のスエットなど、見た目から暖かく見える素材のパジャマや、発熱素材のインナーを選びがちです。
また、足を冷やさないように、厚手の靴下も必須アイテムとして愛用している方も多いです。
暖かく眠るために、暖かそうなパジャマや発熱素材インナーを使っている方、逆に身体を冷やしている可能性がございます。
モコモコした見た目の部屋着や、生地が厚手のスエットなど、見た目から暖かく見える素材のパジャマは、ポリエステル・アクリルなどの石油を原料とした化学繊維「合成繊維」を原料とした物が多く、寝具で説明した通り、湿気がこもり蒸れるために余計に身体を冷やす素材となります。
また、厚手のパジャマは、寝返りがしにくく、体温の上昇を妨げるため、冷え性さんには絶対使ってほしくないパジャマです。
また、発熱素材のインナーは湿気によって熱を生み出すため、悪循環になります。
日中に着ることは良いのですが、冷え性さんが寝るときに着るのはNGです。
靴下をはいている方は最もひどい状況にあるかもしれません。
手のひらと足の裏にはたくさんの幹線があり、汗を出すことで熱を逃がしていますが、足裏をポリエステル・アクリルなど合成繊維でできた靴下で覆うことで、汗の逃げ場がなくなり、足を余計に冷やしています。
では、冷え性さんにはどのようなパジャマが良いのかと申しますと、天然素材100%の薄い生地のパジャマとインナーです。靴下は基本的には不要です。
寒そうに感じると思いますが、湿気の吸収もしてくれますし、寝返りがしやすいので、一番快適眠ることができるパジャマとインナーです。
靴下は基本的にはNGですが、どうしても靴下が無いと眠れないという方は、シルク100%やウール100%の素材の靴下がおすすめです。
※寒さや冷えの基本は寝具ですので、パジャマを変えても、寝具の質も変えないと寒いかもしれませんのでご注意ください。
⑤ 冷え性の布団職人が手放せない、手足と布団を温める道具
布団とパジャマの話をしてきましたが、手足が冷たいままでは眠りにつくことができません。
冷え性さんは冷たくなった手足を自力で温めることは不可能に近いですよね。
布団に入っても手足が瞬時に暖かくなることはありません。
私も寝る前にどんなに手足が暖かくても、部屋に行くまでに手足が冷たくなり、冷たい布団の中では手足をこすり合わせても暖かくすることができず、眠気が覚めてしまう状況です。
冷えた手足と布団を温めて、心地よい眠りをサポートしてくれるためには、手足と布団を温める道具が欠かせません。
私が手足と布団を温めるために使った一番良かった道具は「布団乾燥機」です。
なにより一番短時間で暖かくしてくれるので手放せないアイテムです。
冷たい布団に入り、布団乾燥機を付けると数分で暖かくなり、手足もポカポカで眠りもスムーズになりました。
布団を外で干したくても、春や秋は色々なアレルギー物質が飛んでいますし、夏は天気が不安定、冬は日照時間が短いなど、近年は年中布団を干すのが困難になってきました。
従来の布団を乾燥させるためにも重宝しており、布団を干す事もなくなりました。
最近の布団乾燥機はコンパクトになっていますので、一家に一台持っておくのがおすすめです。
その他にも手足と布団を温める道具として、アンカーや湯たんぽ、電気毛布があります。
お好きな道具を使っていただいてよいのですが、電気毛布の使い方は気を付けてください。
電気毛布をお使いの冷え性さんも多いと思いますが、使い方に注意が必要な理由は、使い方次第で眠りの質が落ちるからです。
電気毛布を付けっぱなしで眠ると、身体を温めすぎ、体温を下げることができなくなります。
また、電気はタイマーにしていても敷きっぱなしで寝ると、化学繊維「合成繊維」のため蒸れを起こしてしまいます。
そのような理由によって、眠りの質が低下してしまいますので、電気毛布を使うのであれば、寝る前に布団を温めるために使った後、寝るときには毛布を足元へ移動させて使うようにしていただければ眠りの質も落ちることなく使っていただけます。
⑥ まとめ
冷え性さんがお使いの暖かそうな布団やパジャマは、逆に冷えを呼び込んでいる可能性があります。
真冬に暖かくぐっすり寝る方法として、布団の質とパジャマの質を天然素材100%にすることが大切です。
冷え性の布団職人が使っている布団を参考にしていただき、今お使いの布団と比べてみてください。
冷え性で眠れないと困っている方が少しでも良い眠りができるようになれば幸いです。